2009年11月19日木曜日

2009.11.24 Yan Lauria の科学講座 2


「深海での生命発見の旅 一技術者が夢想する新型深海潜水船を公開!」 

Yan Lauria 先生に深海底を調査する潜水艦についてお話いただき、その後、実際に新型潜水船を取り出して、深海調査の旅に出かけました。

海底下のマグマ溜まり周辺にあると思われる、完全独立栄養生態系から300度の熱水噴出を通じて飛び出す水素酸化メタン生成菌。潜水船でこの生成菌をピンポイントで採取するのは、思いのほか大変な作業でした・・・。

スライドはこちら: 2009_11_24_Yan.ppt
フルログはこちら:  2009_11_24_Yan Lauria 2 ログ.doc


[サマリ]

  まずこれから探索する深海の世界を、宇宙から見る地球の姿で紹介。肉眼で見る地球の本当の色に近いMODISセンサー画像、雲を取り払って夜の街明かり=文明の営みを示すDMSP衛星画像、陸上の植生を示すAVHRRセンサー画像と海洋植物プランクトン分布を示すSeaWiFSセンサー画像、そして最後に海水を取り払ったERS-2衛星とシャトルによる地上と海底の地形図を示す。

   そこには海底を引き裂く長大な海底火山の山脈が地球を取り巻くように連なる。
  その山脈の各所に存在するのが300度Cの熱水を噴出する煙突=チムニーとその周りの化学合成生態系。今回、NASAのeEducationの海中に置かれていたジャイアント・チューブ・ワームの群集がキラカフェの庭に特別に設置された。
 Giant warm_001.png
 次に、ビアンカさんと合作した近未来潜水艇の実物大モデルを披露。3人乗りのうちコパイロットは光ファイバーでつながった母船から操船することで、潜水船を小型化し、操縦性をアップする。2人乗りとすることで耐圧殻内を一時的に仕切って女性がトイレで困らないようにもできる。

 被写界深度を深くするために絞りを極度に絞った高感度カメラを使用するため、ハレーションを起こさないようにLEDライトはカメラのすぐ横からではなく左右に展張したブームの先に設ける。

 推進器は前後進を早くするために1個の大型推進器ではなく複数の応答の良い小型推進器を複数使用し、斜めに配置して推力のベクトル合成によって最小限の推進器数で上下・左右・前後の運動を可能とする。

 いよいよ熱水噴出孔の下に棲息していてすべての生物の共通祖先に近いと考えられている水素酸化メタン生成菌を、潜水艇で採取することにする。カンラン岩と熱水が反応して生じる水素と二酸化炭素を食べ、機酸素にも有機物にも頼らない微生物である。

 そこで深海での潜水艇の操縦のもどかしさを実感してもらうため、コパイロットであるアーモンドさんの誘導により潜水艇を装着式乗り物にして操船してみる。
 崖を登ったところで思わぬトラブル。スライド操作のためのHUD装着時に、高所でも飛べように装着していたFlight Featherが脱落していたのに気付かず、400m以上の上空から落下。再挑戦していよいよマニピュレータで持った採取器を熱水噴出孔に差し入れようとするが・・・・。

  ということで、ハラハラする潜水艇の操船を味わっていただけたでしょうか? マニピュレータでは岩石をハンマーで叩いて割るというのも難しく、チムニーにぶつかってしまって壊したチムニーの破片をサンプリングするなってケースもあるんだとか。 
 以上で終わりですが、言い忘れていたのが今回、私、ビアンカさん、コメットさんの3人でバーチャル博物館”Ocean Observation Museum”をコメットさんのSIM、Art Artの上空3000mに仮オープンしたので紹介します。 

公式サイト:http://chikyu-to-umi.com/sl/OceanObservationMuseum.htm
SLURL:http://slurl.com/secondlife/Art%20Art/253/18/3001

 今回お披露目した”Quest 7000”や衛星画像のほか、海洋観測ブイ、海中グライダー、海底地震計、有索無人機と自律型無人機、気候変動を予測するスパコンなどを展示しています。また、今年の3月に閉鎖してしまった人気SIM、”Abyss Museum of Ocean Science”に飾られていた150年前の画期的潜水艇イクティネオ、マリアナ海溝最深部まで到達したトリエステ、クストーの潜水円盤の3隻が特別展示されています。 

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