2014年1月2日木曜日

2014.1.8 Tommy Dorairo 「メルロ=ポンティと身体論」9

メルロ=ポンティの身体論は、地-図で構成されるゲシュタルトの知覚理論、そしてもうひとつ、フッサールの知覚論を柱としています。

19世紀末、オーストリアの哲学者エトムント・フッサール(Edmund Husserl)が、現象学という学問を作りました。彼は、もともとは数学者でしたが、途中で哲学へと転向しました。その理由はなぜか。

17世紀以降、代数学が高度な発展を続け、記号操作による抽象化が極まり、数学は経験的なもの、直接的に経験できる現実からどんどん離れて行きました。しかし、フッサールはこうした数学の、現実からの乖離に疑問を持ちました。数学も、学問一般も、経験と結びついて初めて確実な学となるのではないかと考えたのです。

フッサールは経験にこだわります。しかし、それは、見る、触れる、といった、一般に考えられる経験とは異なったものでした。

彼は、意識の外に対象が実在するという前提からは出発せず、経験そのものを見つめようとします。意識の外に、意識がまさに対象としているものが存在すること、それを私たちはどのようにして知るに至っているのか。その成立の仕組を捉えること、これが必要だと考えました。その経験に立ち返り、純粋にそれを記述しなければならないと考えたのです。

この、認識の仕組みを考える時に、フッサールは知覚をモデルとしました。そこで創り出されたのが彼の知覚理論です。

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セミナー内では特に言及していませんが、さまざまな文献を参照しています。
以下、主な邦語文献を記載します。

加賀野井秀一『メルロ=ポンティ』
木田元『メルロ=ポンティの思想』
木田元『現象学の思想』
谷徹『これが現象学だ』
ダン・ザハヴィ『フッサールの現象学』
村田純一『知覚と生活世界』
鷲田清一『メルロ=ポンティ』