2009年11月20日金曜日

2009.11.10 Kichimaru Haystack トーク



「考古学夜話 -1-」

元早稲田大学古代エジプト調査室嘱託/同文学部講師 kichimaru Haystack さんに、ピラミッド調査、王家の谷調査、貴族の墓調査、太陽の船調査など、計20回の現地調査に参加なさった経験をふまえた、考古学の現場のお話を伺いました。

Q&Aログはこちら: 2009_11_10_Kichimaru ログ.doc


1. はじめに
    考古学の目的とはおおむね「人類の活動痕跡(遺構や遺物)を対象として人類文化の復元を試みる」というものだが、国や地域によって扱う時代範囲は様々である事、また調査動機によって学術発掘と行政調査(緊急発掘)に大別出来、国内での発掘はほとんどが後者である事、そして日本の場合は歴史学の範疇に入れられ、文献史学を補足するものという傾向もあるが、アメリカでは人類学的範疇に位置づけられている。方法論的には、遺構や遺物の観察に立脚した状況証拠の積み重ねから思考するもである。

2. 海外調査の事例
   早大古代エジプト調査室に勤務し、ピラミッド調査に参加した体験から見えてきた事ととして、有名な3大ピラミッドのあるギザ台地の総合調査に付いて言及。ピラミッドがナイルの河岸段丘の縁にあり、かつての洪水期には近くまで水が来て、石の運搬に都合が良かったと考えられる事。全体の地質や古生物(化石)調査では、 基盤の石灰岩層が大きく南に傾斜している事やピラミッド建造前に岩盤の基礎工事が行われていた可能性があること、またスフィンクスの頭部が基盤層の残りの大岩である事などを指摘。周辺の壁体調査では、ピラミッド創建時からのものではなく後世何度も整備された結果である可能性があり、時期同定が難しい事などに触れた。
   「ピラミッドの色」について、多くの解説用イラストが白く輝くように描かれているが、実際はカフラーとメンカウラーのピラミッドに表層石として赤色花崗岩が使われており、ツートンカラーであった事などを報告した。
3. まとめ
   ピラミッドの意味や建造方法に付いて多くの説があるが、観念的な捉え方ではなく、現地調査での細かな観察から考えて行く必要がある。